ガラスディスク製造方法

2P製造方法(CD-ROM)


プラスチックCDは、射出成形法により製造されます。成型機内ではスタンパが取り付けられた金型に溶融したプラスチック材料を高圧で注入しプラスチック板にビット(信号)を転写してCD基板ができあがります。
一方、ガラスCDは、2P法(Photo Polymerization)と呼ばれる方法で製造します(図-1)。

CDの製造方法

化学強化法で熱処理を行ったガラス基板上に紫外線硬化型樹脂(UV樹脂)を塗布し、スタンパ*と張り合わせて加圧し、ピットをUV樹脂に転写させたまま、UV光を照射して硬化させます(工程1)。その後、ガラス基板から、スタンパを剥がし、ガラスCD基板が完成します(工程2)。
その後の工程は、両方法とも、ほぼ同様に、反射膜付け工程 → 保護膜層形成工程 →印刷工程 を経てCDが完成します。
*スタンパ:ピットと云われる信号が刻まれたニッケル製の円盤。CDの性能を決める重要な部品。

ガラス/ポリカディスク 音質差要因

音質差の5大要因

音質差の要因-1 【反り】

一見平らにみえるプラスチックCDも、ミクロに見ると大きく反っています。プラスチックCDは、成形時に未硬化の状態で取り出すため、基板変形やプラスチックの収縮により【反り】が発生します。さらに、プラスチックは空気中の水分を吸収・排出する性質があり、温度・湿度などの環境変化により膨張・収縮し絶えず平面性が変化しています。

音質差の要因-1 【反り】

音質差の要因-1 【反り】光ピックアップから照射されたレーザ光はディスクの反射膜で反射する際、ディスクの反り角の2倍の角度で反射します。ディスクに反りがあるとレーザの光軸ズレが発生し、コマ収差により音質特性が劣化します(図3)。
ガラスCDは、平面度が高精度である上、吸水性がありませんので、恒常的に安定した信号読み取りができます。

音質差の要因-2  【複屈折】

CD等の光ディスクでは、ディスク基板は信号再生のための重要な光学部品です。本来の設計通りにディスク基板中をレーザ光が伝わる必要があります。そこで問題となるのが[複屈折]です。複屈折とは光が透過する物質の中で2方向に分かれる(屈折)現象で、各々の光の進む方向により速度が異なることから、レーザ光に位相差が生じ、正しく信号再生ができなくなります。複屈折値は物質の結晶構造で決まります、プラスチックCDは素材を溶融し高圧力で金型に流し込む製法であるため、複屈折を避けることは不可能です。
ガラス素材は非結晶構造であるため[複屈折]は存在せず、理想的な光ディスク素材です。
複屈折は、信号再生精度及び音質に大きな影響を及ぼしていると考えられます。

音質差の要因-3|信号特性(ピット転写性)が良好

プラスチックCDの射出成形法は、スタンパのピットを溶融したプラスチックに転写しますが、溶融したプラスチックは粘度が高く、微細なピットを、完全に転写する事は非常に困難です。更に、溶融したプラスチックが冷えて固まる際、大きく収縮するため局部的な変形も起こります。ガラスCDは液状UV樹脂を使用してスタンパに密着加圧したまま、紫外線照射を行うため、ビットの隅々までUV樹脂が浸透し完全な転写が可能です。また、UV樹脂層は僅か数μmであるため、殆ど収縮は起こらず安定した転写が可能です(写真2)。
ピットの大きさ : 幅 約0.7μm , 長さ 約0.9~3.2μm , 深さ 約0.12μm

音質差の要因-3|信号特性(ピット転写性)が良好

【写真 2】同一スタンパから作成したプラスチックCD(左)とガラスCD(右)の信号ピット部分をSEM(走査型電子顕微鏡)で観察した写真。

音質差の要因-4|2倍の質量により、回転がなめらか

ガラスCDはプラスチックCDの約2倍(32g)の質量が有り、フライホイール効果によりなめらかにディスクが回転します。そのためディスク回転サーボが極めて安定的に作動します。また、ディスクの反りや偏心特性が良好なことから、ピックアップのフォーキャストサーボ , トラッキングサーボ等の負荷が軽減され、再生装置内のS/N比が向上します。

音質差の要因-5|経年変化がほとんどない

プラスチックCDは、ホルムアルデヒド等の化学物質によりプラスチック基板の透明度劣化(白濁)や、プラスチック材の吸湿による反射膜の酸化等の経年変化が危惧されています。
ガラスCDは強化ガラス基板を使用しているため、傷つきにくく、環境変化の影響も受けないことから半永久的に恒常状態を保持します。
以上のようにガラスCDは、CDが本来持っている優れた音楽再生能力をフルに発揮することが可能であり、また、貴重な音源を未来に引き継ぐための理想のディスク・メディアです。

ガラスCDは マスタリングからCD完成までの、すべての工程で厳密なチェックを行い、一枚一枚に心を込めて、最高品位のガラスCDに仕上げ、お客様にお届けしています。

ポリカディスク構造

CD-R構造と生産工程

CDを超える高品位C/N実現により、音源並みの高品位音質CD-Rを実現

CD-R生産工程

DVD-R構造と生産工程


高精度射出成型技術の実現によりソリ、ゆがみのない高品質DVD-Rを実現

DVD-R生産工程

BD-R構造と生産工程


精密マルチレイヤー化技術の実現により、0.1mm厚内に、均一かつ低ディフェクト積層構造を形成

BD-R構造と生産工程

ハイブリットディスク例(CD-ROM+DVD-R)

レーザー波長、焦点深度に合わせ、構造を設定。
DVD,CDの両ドライブで読み出し可能なディスクを設計する。

ハイブリットディスク例(CD-ROM+DVD-R)

 

↑PAGE TOP

ページトップへ